僕のヴィランアカデミア

 

好きな漫画が5周年!巻頭でした。

一時期のようにジャンプ毎週欠かさず買う程のオタクでもなく、好きな漫画が良い感じのセンターカラーだったら買う程度にゆるゆるオタクをしているのですがこの前買ったばかりだし別に買うほどでもないかな〜と言ってのんびりしていたんですよ。主人公サイド出てないらしいし別にコミックス8月に直近の話すぐ入るから……みたいな感じでした、ツイッターのサジェストにオリジンって出るまでは。

オリジンって出てきて、敵側のオリジンで叫びながら買いに行きました。土曜発売だったのに火曜に買って開いて無理になって今です。おせえ、タイムラグがなげえ、マジで週刊少年ジャンプのオタクか?ってくらい遅い。死んだ(オタクはすぐ死ぬため)無理では??

 

死柄木弔のオリジン、待ってた。本名でオリジン回来た、志村転弧:オリジン。これで来週のタイトルが死柄木弔:オリジン、ないしは死柄木弔:ビハインドだったら大泣きしてしまう。ビハインド(過去)もいいしオリジン(始まり)でもいいんだよな……でも死柄木は過去を気持ち悪い物として全部忘れてしまったうえ仲間も失いどん底どん底でもはや這い上がる他ない。ここまで堕ちた悪役が這い上がるのならばそれはもうビハインドよりオリジンよりライジングでは??

百億回言われてると思うんですがヒロアカは基本的に緑谷出久が主人公の割にオールマイトや爆豪やお茶子ちゃんや轟やAFOみたいな人たちが織りなす群像劇って感じじゃないですか。でも裏テーマは死柄木を敵として骨太……というか人間として描き、彼の成長を裏主人公として書いている気がする。面白くない?ヒロアカ、読んでるオタクが誰推しかで裏主人公変わってくるんだよね(そしてもちろん私にとっての裏主人公は死柄木弔です)、多角的に物事を描かれている証拠なんでしょうなあ……。

 

しょうもない私の独り言はまあ置いておき。

死柄木は四ツ橋との戦いを経てライジングして敵として変わるんじゃないかと思うわけです。堀越は緑谷の成長の裏に死柄木の成長を描いてるんだが、死柄木は今週号で過去を取り戻し人間性を獲得しました。過去がなく未来もなく何もない志村転弧の抜け殻だった死柄木弔は現状より上、敵のボスとして君臨するには抜け殻に中身として未来や過去を再び入れないと人間になれないじゃん。死柄木は父親にヒーローになるのを反対されていたけどそれには父親なりの理由があって、父親も良い家庭を築こうとしてきたが実の母親と別れさせられて歪みを抱えているから一概に毒親!と言うのは間違ってるんですよ。弧太朗も母のようなヒーローになりたかったときがあったがその願いは母本人が弧太朗を置いていったことで砕かれ、転弧も人を助けたかったのにそれを父に良しとされなかった。

五歳で個性も出ずまるで1話で周囲から無個性だといじめられた緑谷の焼き増しで、たった一言「君はヒーローになれる」という言葉さえ肉親からもかけてもらえなかったのも同じなんですよね。だって緑谷は1話でもらったあの言葉は15歳にしてやっともらえて、転弧だって15まで生きてたらもらえたのかもしれない。でも、もしの話はいくらしてもそうはならなかったのだから酷なようだが「ここでその話はお終い」じゃあないですか。

この人間性を獲得した上で今までのように全て嫌いで全て壊したいと言えるのなら死柄木は真の悪になれると思ってます。今までの死柄木はバックボーンも何もかもがなくただ破壊衝動だけが志村転弧の殻に残っている状態だったが、ここで人間性を取り戻しその上で破壊を取るならそれこそが死柄木弔という人間の再構成ですね。そしたらステインや四ツ橋、そして師であるAFOのような大人からの求心力のある芯のある悪になれる。

 

敵は完成されていてこそ敵で、成長なんてまっぴらだという意見もわかるっちゃ分かるんですよ。たしかに真意がわからず相容れない化け物のような何かの方が良い、生まれつき悪を尊ぶように価値観がずれているせいで鼻歌を歌いながら人を殺せる敵も良いのかもしれない。バックボーンが見えてしまう敵に感じる脅威は半減するかもしれない。

で、これは完全に寺山修司著「家出のすすめ」からの受け売りになってしまうのですが恐怖を伴わない殺害はただの小児快楽的なものでしかなく、恐怖に震える手で殺害してこそ人間らしい欲望があり日常破壊の論理が潜んでいる。って書いてるんですね。

今までの死柄木の破壊衝動は言うならば子供が虫を殺すような無邪気だが覚悟がないから、フラフラと芯がなく人生を預けても良いというパトロンはいない。だがここで芯を持ち大人になり成長することで狡猾で闇に潜み姿を見せずに手駒を意のままにする原典のモリアーティになるのでは?と思ってます。

恐怖を伴わない殺害ができるキャラって魅力的じゃないですか(私も大好きです)今までの死柄木もどっちかといえばそんな感じだった。でも大人の悪っていうのは罪悪感や恐怖も何もかも乗り越えて震える手で、それでも相手を殺すことができるから大人じゃないですか。同じように自分の過去もしてきたことも何もかも全部飲み込んだ先で同じように全てを嫌い全てを破壊することを選べる敵がいるのなら、それは本当の狂人で真に悪だと言えると思ってます。まさしくヒーローが規範の日常を破壊する者。

だから死柄木にはそんな悪に育って欲しい。四ツ橋やステインは多分過去も何もかも飲んで大人の悪へとなっているから大人からの求心力が高かった。治崎はどうだったのだろう、組の大人はついてきていなかったから死柄木と同じだったのかもしれない(これを書くには恐らく治埼の過去への言及が少なすぎるので書きたくなかった)

……ともかく子供的な破壊衝動ではなくなって欲しい、それを行えるようになった真のヴィランへとこの長編で死柄木を育てる必要がある。彼が初めて人を壊したのは5歳なのかも知れないが、初めて人を震える手で“殺す”のはオールマイトであって欲しい。

 なのでこの四ツ橋編のサブタイトルが「死柄木弔:ビギニング」だと思う。志村転弧の殻ではなく死柄木弔という“人間”の再構成。

 

ヒロアカが人間性を獲得した死柄木が罪悪感も恐怖も過去もなにもかも乗り越えた先「プルスウルトラ」へと至る物語でもあるのならやはりそれもアカデミアなんでしょうね。

まさしく僕のヴィランアカデミア

 

追記:死柄木弔に人間の再構成をして欲しくて捕まる前のAFOはステインけしかけたりオールマイトと会わせたりしてたんだと思うが、AFOが捕まり敵連合を潰そうと全面に出てきた異能解放戦線が死柄木弔の再構成を結果的に行わせたのマジでエッジの効いた皮肉では??これで実はそれすら予測して四ツ橋に隠し子がいたのを知りながら逮捕されたら四ツ橋が獄中死を選ぶと予測し、その子供が遺志を継ぐことまで見越して警察に四ツ橋の父を逮捕させてたらおもろすぎる。