237話 死柄木弔:オリジン 感想

タイトルを考える心の余裕がねえ!!!!
先々週の回想で人の子だと思っていた志村転弧はその実破壊衝動を持って生まれた怪物であり、その怪物の孵化、脱皮と羽化を見ている。今まで会話の節々から見えていた死柄木が怪物という事実を改めて見せつけられた気分です。
複雑な背景を持った父親がヒーローへの感情を抑圧していたのは同情の余地があった、最悪のタイミングで個性が発現したのも同情の余地があった。しかしその後明確な殺意を持って父やその辺のチンピラを殺したことは同情できないし、破壊衝動を本能として抱えていた下りで完全に彼は普通の人間ではないのだと思った。良心、道徳、倫理といったものは当たり前に人間が守るべき本能として持っている者でありそれらを守ることを無意識化で嫌がっているということは彼はもはや人間の枠にあらずでしょう。
というわけで5歳の怪物が孵化し脱皮しつつある現場を追憶させられながら20歳になったその怪物は羽化しつつある、完。

私の情緒がジェットコースターになってしまった。堀越はオタクの情緒で遊ぶな(誤解のないよう言っておくと最高・最高・最高だったよ!!!)

 

死柄木が生まれながらの破綻者だったということを教えられた……。っていうかもはやアレは人じゃなくて怪物じゃない??なんか色々ヤバいし先々週書いた感想は普通に解釈違いになったよね。なにが震える手で殺すだ、よりによって父親を明確な殺意で殺してんじゃねーか。性善説もクソも無ければ死柄木本人が生まれついてのヴィランでした〜!!

まああと四ツ橋の敗北はここで明確に確定した感じっすね、99.999から100に変わった感じ??

 

社会の無関心とかヒーローが来てくれるからとかAFOは10巻の回想で言ってたが一般人はあの顔の幼児と関わりたくないだろ、通報して自分に目が向けられるのすら嫌だよ(あの顔は没になった死柄木の初稿キャラデザ踏襲してません?)

客観的な視点から見るとあの回想シーンはマジで何言ってんだコイツ?になるし、と同時にAFOの巧みさに舌を巻かざるを得ない。何故なら群衆が無機質なビルへとなりゆくシーンこそが転弧の主観であり、彼の中に残った人間の面が求めた「誰か僕を助けて」の声をかき消されたことへの絶望感の表れだから。それに寄り添い支えになることで相手を手駒にする、まさしく21巻の初代回想でやってたことだよ。そういうとこホント……悪のカリスマだよな〜とため息が出る。同じように彼の中のわずかな善性がせめてもの抗いとして家族を殺した時の記憶を封じ込めたのではと考えるとちょっとだけ泣けた。
あとどうでもいいがフル装備のショタ弔は全身の手が身体の割にでかいせいでめちゃくちゃ禍々しく彼の身の内の歪みを表に出しているね。

 

情報量が今週エグくねーか??AFOの本名が死柄木でその名前を付けたということはマジで普通に子供として迎える気じゃん……でも多分AFO的には子供じゃなくて弟なんだろうなと思う。

自分のことを唯一受け入れず立ち向かった弟、血縁で弱く庇護の対象であり手を取り合いたかったが決して分かり合えなかった男。先々週の時点ではただ志村家を壊す舞台装置でしかなかった転弧はしかし、AFOが再会したとき髪の色がストレスから抜け落ちていた。そこで初めて目の前の子供は弟に顔立ちが非常に似ていたことに気づいたAFOは、弟との仕切り直しをできると仄暗い歓喜に浸ったのではなかろうか。

 

先週言われてるの見たんですが、AFOは弔に対して全く使い捨てや手駒とかではなく師として父として力を惜しまないバックアップしてるじゃないですか。多分AFOは全てが駒なわけではなく人並みの情はあり(死柄木が連合は別腹といったのと同じ)弔はその情の対象に入ってるんだろうなって感じ。
初登場時に死柄木くん破茶滅茶クソガキムーヴしてたじゃん。「すべてを肯定」発言といい今週の真新しい服とハイカットシューズで確信したが普通になんでも買い与えられてるなこれは。やれRPGだのそれボドゲだのと言っていたが絶対それらもホイホイAFOに買い与えられていたでしょ、今週の棚に並んだ謎フィギュアもそうじゃん。まああのフィギュアはもしかしたら弟と同一視しているAFOが形見を与えたのかもしれないが……
物理的にもなんでも買い与えているが心情的にも弔に彼は無償の愛を与えているんですよね。多分全て兄として弟に与えたかった物の再演だったんだろうな……弟は誰かの犠牲の上で得たそれらを決して受け取らなかったからさ。血縁に対してなら無償の愛を注げるのもまあわかるよね、それは緑谷への母であり轟への母であり弧太郎への菜奈のじゃん。二人で漫画を読むくらい昔は仲が良かったんだよ……同情の余地は欠片も無いが……

 

どうする?これで実は初代の名前が死柄木弔だったりしたら。AFOこと死柄木慶とOFAこと死柄木弔とかだったらどうしよう、マジで兄弟の再演じゃん(慶弔とかまさしく人の生から死まででは??)死柄木兄弟が共に読んでいた漫画をAFOは弔に読ませ感想を聞いて僕はこれを全部壊したいんだという弔の答えにうっそり笑ったりしたんだろうな、なんて。100年越えの兄弟の再演、「共に往こう、弔」なんて言ったりした日にはあまりにも抱えた闇が深すぎる。

 

でさ〜〜死柄木が父の手を自ら崩しちゃったわけっすよ〜〜!!!!(大の字)

ステインとの対話時に壊されかけて「この掌はダメだ、殺すぞ」とまで言い放ち爆豪に爆破された時に拾いながら「ごめんなさい」と言っていたあの手を自らが壊した。回想シーンでも父の手を壊してたがあれとはまた違うものがあるな。

トラウマの克服と言えるのかすらわからん。ただ一つ分かるのは5歳で怪物として目覚めてからずっとつけていた手を死柄木本人が壊したことで真の親離れをしたわけじゃん。そしてあのシーンで親代わりをしていたAFOとの回想シーンも親離れの比喩……この場合はヴィランアカデミアからの卒業かな?

家庭を思うたび込み上げていた吐き気を催すほどの嫌悪感のターニングポイント、単なる破壊衝動から芽吹きかけていた歪な信念はこの瞬間から明確に社会へと牙を剥き始めるのでは……??おめでとう、死柄木弔。今日から君はまごうことなきヴィランだよ
AFOとの別れで停滞した死柄木は言わば蛹だったわけだが、その殻に四ツ橋が入れたヒビが大きくなり羽化が始まったわけなんだよな。

あとショタ弔の靴が目につくな。ヒロアカのハイカットシューズと言えば緑谷、in your shoesで「あなたと同じ立場なら」っつー意味、導き出される答えは??という感じ。緑谷と同じような靴を履いていたショタ弔は衝動的な殺人は犯しておらず、でも今は靴が違うから二人は決定的に別たれてしまっている……。
無意識に個性を抑えているということはリミッターを取り払った結果が周囲への崩壊の伝播であり、そういう点ではやっぱり壊理ちゃんの『周囲の時間を巻き戻す』に似てないこともないって感じ。何にしても突然変異組は個性があまりにもピーキーすぎる感じがしてならない、己への精神負荷を先に代償として蓄積して放出するからこそあそこまで尖った個性なのかも知らんが……

 

マジで誰かのために今の変革を望む者は己のために変革する者に負けてしまうんだなとマザマザと思い知らされる話に今後なりそう。治崎と四ツ橋は潜伏しつつ組長や父親のために、みたいな理性的だが、死柄木やステインは自分のために今を壊したい方じゃん。こういうやつは正義との戦いでもなんでもだがノーリスク戦闘みたいなもんだからマジでクソみたいな余裕があるぶん強いんだろうな〜となる。AFOもそりゃ後者でしょう、神野のときにオールマイト相手に全く尻込みしてたようには見えんかったよ。

一度目の破壊は殺害への忌避からの離脱、二度目の破壊は破壊へのためらいからの離脱って感じ?自分は不幸でもかわいそうでもないしあれは悲劇ではないと胸を張って言える死柄木は真のヴィランだなあとなんか応援したくなるね。

おまけに壊した後は同じ志を持つ仲間が好きなようにやってくれってことは、死柄木は己が刹那的な生き方をしていることを自覚しているからこそ壊すところまでが己の限界だと区切ってるのかな。再建は仲間に託してるあたりに冷静さを見てしまい腐ってもボスなんだな……となるね。自壊しながら止められないあたり超新星爆発か?そういえば超新星爆発の後のチリは星が生まれるときに使われるわ〜死柄木弔、超新星爆発説(頭がおかしくなっている)

 

以下、大混乱の中書いていた駄文。読まなくて大丈夫なやつです、まあせっかく書いたやつだし読んでくれると嬉しい。
1.崩壊の個性が過度のストレス蓄積で暴発したのなら家や地面を崩落させてもおかしくはないし、そうなると父親への憎悪を常に身につけて増幅させてる億チャン。5歳で発現もまあ分かる(つーかそうであってくれや)(無理)
2.敵連合消滅後展開予想〜!!
>死柄木は異能解放軍を駒として(13巻タルタロスにて「弔は台頭する勢力を見極めている」発言より)個性解放論を唱えヒーロー社会に疑念を持たせ社会基盤にヒビを入れる→個性に存分に頼りありのまま解放すべきだと社会が傾いた時点でドクターにより大量生産が可能となった個性破壊弾を流通、解放すべき個性を崩壊させることで「全部壊す」
3.オリジン組へ異物混入確定した死柄木弔。良さみがマリアナ海溝
4.緑谷が先代たちに「雑念マシマシで使っちゃダメ、怒りをコントロールしろ」と言われたのと並行して苛立ちの矛先を社会へと絞ることで成長していく死柄木も成長してら。
5.堀越のハマってる『来る』の話します。来るは基本家庭の歪みと死への興味から全部始まってるんだがそれ見た後にオリジン3話見たらウワ〜!!!?!?となるから見てください(みっともない縋りオタク)
6.気づいたら助けに行こうとしていた緑谷、気づいたら人を殺していた死柄木とかやっぱ対象じゃねーか。な〜んて言ってたら21巻の架空は現実に、のセリフはまさに1話の緑谷のセリフ「夢は現実に」とルビが同じだったりしてハ〜〜ほんと……マジ……
7.「気に入らないものは全部壊していい」のセリフがステイン編の脳無出してくれに繋がるわけっすか!?オイオイ勘弁してくれよ
8.あの場面でホークスのようにヒーローなり警官なりに拾われていてもいずれ歪みは抑えきれないほどに膨らみどこかのタイミングで敵として寝返っていただろうと考えれば、結局転弧は生まれついての悪役だったのだろうなと思う。