世紀末最強百合伝説 呪術廻戦

あまりにも精神が耐え切れずに思ったことをそのまま載せたせいで意味の分からないブログになってんなと思い人並みに整えるなどした。

 

呪術廻戦、新春から何最高過ぎること言ってんのかわけわかんなくないですか??年末あたりから女同士の熱い友情パトスみたいなまるで「女子が仮面ライダー!(いやたぶん仮面ライダーになった女の子は普通にいると思うのですが)」って感じじゃない?

ちょっと前に大騒ぎになった男でもプリキュアになれる、あれの女版をしている感じがしてワクワクしてたんですけどなんか普通に今週号の爆弾はやばいが過ぎた。ネオ少年漫画になれる素質が世界で一番あるよ呪術廻戦……

ネオ少年漫画?近未来??なんて言えばいいんですか?なんかこう……生きたいように生きればいい!自分に恥じなければどんな生き方だって格好良くなれる!!みたいな野薔薇の魂の叫び、本当にかっこよかった。

あと、東堂が女の子の好みを聞いた時の「男でもいいぞ」とかも好きな性別じゃなくてどんな信条か、どこに重きがあるかみたいな感じで素晴らしかった。

呪術廻戦の世界では自分が自分に胸を張れる存在であるなら女が仮面ライダーになっても良いし、きっと男がプリキュアになったって笑われることなんかなくて、そんな2018年なんですよね。

マイノリティ教育とかが漫画の作家世代にまで広がってきたのを思わせてくれる最強少年漫画なわけです、原作者1990年代生まれの20代だから……

で、まあ呪術廻戦はそんな風に誰が誰を好いても良いし嫌っても良い。己に胸を張れるのなら他人からの評価は気にするな、何を愛しても良い、お前はお前のままで生きていけみたいな漫画なんですけどそれを踏まえてのクソ重ヤバ百合じみた今週号ですよね。

 

まず、禪院真依にとっての絶対の唯一は真希なのに真希にとっての唯一は真依ではなかった、正確には真依「だった」ということになるんですよねこれ。

真希は未来に怖いものなんかなくて、家に居たままこき使われるそれを甘受し自分の足で歩かない選択をしたらきっと自分のことが嫌いになってしまうと家を出て歩き出した。

自分に胸の張れる生き方をとったわけですね、たとえ家の人間から後ろ指をさされて足を引っ張られても自分に嘘だけはつきたくなかった。

真依のことを妹として双子として大切に思っていて、家が彼女をも貶めることは是としなかった。けど二人で一緒に歩こうという選択肢はなかったんですよ、まあ誘ったけど真依はそれを受け入れなかったのかもしれないんですけど……。

連れて行って二人で家に立ち向かおうとはしなかった、その時点ですでに真依は真希にとっての一番ではなくなっていた。気にかけるべき存在ではあったけど彼女が姉をどれほど切望していて、自身が彼女を置いていくことに対してどういった感情を向けられるのかまでは分かっていなかった。

たぶん真希の中での真依は「家」や「安定」が彼女の中で最も大切なものだから自分と一緒に出ていかせるわけにはいかないと思って置いていった。彼女の中で最後にできた妹孝行みたいなもので、でも真依にとって本当に大切で必要なものは真希だったわけです。

真依は姉と一緒なら二人で落ちぶれても良かった、家にこき使われて後ろ指を指され貶められても真希となら耐えられたしそれで一生を過ごそうとしてた。なのにその姉が、置いてなんていかないと約束をしてくれたはずの姉が置いて行った。

 

真依の依は依存の意味で、マジに真依は真希に依存してた、真希が家を出たことで始めて真依も依存をやめて甘受するだけの現状から家から抜け出した。けど真希の希は希望なんですよね……未来にできないことなんてない、切り開けない道なんてないっていう希望に満ち自信を持って日々歩く真希。

多分あの二人は一卵性双生児なんじゃないかと思うわけです。顔つきこそ違うけどそうじゃなかったら術式だけ、呪力だけって別れることはない。そんな元々は文字通りに一つだった二人が隔たれて道を歩くことになってしまった。

誰も悪くなくて、家は今後も続かなくてはいけないし真希は妹のことを考えて自分だけ出ていく選択をしたわけだし、真依は真希との約束を覚えていた。ただそれらが致命的にかみ合わなかったという話なんですよね。

 

真依、霞ちゃんに「真希?あんなんただの雑魚よ」っていって安心させてるんですけど、裏返せばこれって真希が同じくらい強かったら……っていう不安を抱かせる程度には真依も強いってことなんですよね。

で、家での堕落や落ちぶれることを良しとしていた真依が一転してそこまでの頑張りを「真希がするから私も頑張らざるを得なかった」ってだけで積み重ねてた。それだけ真依は真希に置いて行かれることを恐れていたってことなりませんか。

姉の横で双子として恥ずかしくないように並びたくて、現状維持のまま生きたいと思ってたような「もううんざり!」ってくらい嫌いな努力も、怖いことも、痛いことも頑張ってきたんですよね真依……。

さっき言った「依存」もここまでくれば執着に近くて、でもたったそれだけで真希の後を追ってきた。文字通り血の滲むような努力で構築術式で物体を生んで。

あの七発目を撃ったタイミングのモノローグ、本来なら構築術式で生んだものを真希に見せて褒めてほしかったんだと思う。姉に自分の成長を見てほしかった、けど逆に言えば真希が出て行って真依が甘受を捨て、追いかけるように努力をしなければあの一発の銃弾は生まれることさえなかったんですよ。

真依から真希への感情は一緒にいて欲しいという願望、二人なら落ちても良いという安心、自分が置いていかれることへの焦燥、あの日の約束を裏切ったことへの怒り、自分は唯一ではなかったことへの絶望。でも多分根底には幼い日に置いてなんて行かないと手を引いてくれた彼女への憧れがある。

 

で、一番最初の話に戻るんですが感情の重さで愛を語るのなら間違いなく真依のそれは愛。幼くてまだ感情に名前が付けられなかった真依ならそれを初恋と勘違いしたとかもあり得そうだし、だから初恋を秘めていたと思えてくる。

それこそ呪術の中の世界では誰が誰を愛したって良くて(幼馴染への愛が呪霊にしてこの世に縛り付けていたとかあるし)幼心の肉親への愛とかも自身に胸を張れるのならきっと認められるんですよね。別に恋愛だけが愛じゃないし……

「愛はこの世で一番重い呪い」とかあるんですよね。今週号で真依が生んだ構築術式による弾丸だって呪いの一つだし、真希が家を出なかった世界では終ぞ生まれ得ないものだと考えると愛なんじゃないのかなと思うわけです。

まあそれに、真依が真希を愛したことがないのだったら、あのタイミングのモノローグで呪術師にとっての一番とも言える「術式」と「初恋」なんてワードを一緒に出すはずがなくないですか?

真依の初恋はあの日手を引きながら「手離さないでよ」に「離さねーよ」と返し、「絶対置いてかないでよ」に「当たり前だ 姉妹だぞ」と返してくれたたった一人の味方だった真希。

墓場まで持っていくはずの初恋の話、手を離さないと言ってくれた真希へ焦がれた思いは真希が手を離した瞬間に反転して「愛」が「憎悪」になってしまったけれど、確かに抱いたその思いは変わることなんかないはず。

 

いつか和解したらその時は酒でも飲みながらアナタが私の初恋だったのよなんて言うかもしれない。結婚式かもしれないし何か分からないけど、わだかまりが解けることはあるのか否か。

あって欲しい……真依が幸せになるのならそれに勝るものなんてない。和解して昔の軋轢なんて無かったかのように笑いあって欲しい。意外と早く来て欲しいし酒なんて飲む歳にならなくても良いから二人で穏やかに笑いあえる依存でもなんでもない適切な関係になって欲しい……互いに尊重して切磋琢磨できる関係になって欲しいんです、お願いホントマジで……無理……。